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わたしの古いお客さまから電話がかかってきました。
いつもはラインでやり取りする方なので、どうしたんだろうと少し心がざわっとしました。
実はお客さまから頼まれていた仕事があり、彼女の職場の異動などが落ち着いてから始める予定でスタートの号令待ちの状態で、
スタートの号令ならラインで来るだろうなと思っていたところの電話だったからです。

かよこさんごめんね実は、と、話し始められた内容はとても重く、辛いものでした。
話を聞きながら、わたしの脳裏に初めて会った彼女の姿、そして、打合せを重ねるたびにどんどん親しくなっていく彼女の姿、多忙な彼女の隙間を狙って職場でした打合せ。制服姿の彼女が何回も通り過ぎていきました。

ご両親の希望だけを反映した二世帯住宅を建て、マスオさんのご主人と実の親御さんと暮らし、ふたりのお子さんを授かるも、問題を抱えたご主人から逃げるように離婚をし、紆余曲折あり、もういちど、「『私』がいいと思って、『私』が好きだと思って、『私』がこうしたいと思って建てた家に、子どもたちと住みたい」　と、わたしのところに来てくださった方です。
もーーーー！！頑固者かよっ！！！というほど『私』がこうしていたいという思いが強く、そのイメージからのパーツにこだわる方でした笑
で、わたしはどうしたかというと、徹底的に付き合いました笑　小上がりの段差の何ミリメートルまでこだわりました。それと、女性があるじのこの家がキツくならない曲線や色使いを心掛けました。
そうして、ふたりであーだこーだとやっているうちに、わたしたちはかなりの仲良しになりました。
年齢もわたしの５歳下で、お互いの人生の、いくつかのエピソードが似ていることもあり、わたしは彼女にかなりあけすけに話をしました。
彼女も、わたしにそうしてくれました。

その、「あけすけな話」の最新版が、こんなにつらい話だなんて
詳しくは書けませんが、お子さん（２０代）の病気の話でした。


わたしは
自分の親がそれぞれ病気で臥せったとき、誰かに掛けられる言葉すべてに怒っていました。
楽観的な言葉にも悲観的な言葉にも、わたしを励まそうとしてくれる言葉にも慰めの言葉にも、すべての言葉に心の中で怒っていました。
わたしは常々、「絶望」って真っ暗なところに置かれてしまった自分の状態のことではなくて、その暗闇の中で光を見出そうとする気力も出ない状態のことだと思っていますが、
その状態に陥るともう他人の言葉がすべて、わたしの皮膚を気持ち悪くさすってどうせどこかに消えてしまう無責任なものに感じてしまうのです。それでもう、いちいちカンカンです笑
まあ、カンカンに怒るくらいに元気あったんだけど笑
で、
なにが言いたいかって言うとだからわたしはそういう状況にいるひとに対して毎回何も言えない。
どんな言葉を探して繰り出しても、「絶対にムダ」と、思い込んでいます。わたしの事情、わたしの都合ですが、そう思っています。
だから今回ももう、謝りました。何も言えないって。気の利いた言葉一つ言えなくてごめんなさいって。

でも
ほんとにまったくなんで、あなたにばっかりいろんな試練あたえるのよって思っちゃう

と言うと「ああほんと！ほんとそうよね！！なーーーんにもなくて平穏な人だっているのにねぇー」と、ケラケラ笑うのでした。

だからほんとにそうやって笑ったりするから「強いオンナ」って思われるし実際強いのですが、
強さ、ってね、困難な状況にも負けないできちんと対することではなくて、その状況をちょっと俯瞰して笑えたり負けちゃってもぱっぱと砂を払ってまた歩き出したりするしなやかさだと思っていてわたしは彼女はそう言うひとだととらえています。
だからきっと大丈夫だし、お子さんも乗り越えて治ってくれるでしょう。

「頑張れ」って言わないほうがいいとかいうひとにわたしはいつもうるせえがんばれというタイプなので誰にでもがんばれというのですが、
彼女には、正真正銘がんばれと言いたい。ですし、彼女は多分、ガッツポーズをしたあと前を向いて歩いていくことでしょう。

がんばれ
おうち建てた時みたいに、やりきってください。


いつも、モロ個人的なことばかり書いていますが今回はほんとうにそんな感じですみません。
心の整理整頓の意味で書いたものを人様にお見せするのもどうかと思ったのですが、
人に見られている、という前提で冷静になってちゃんと応援したいなー（心の中で）と思ったのでちょっとお付き合い願いました。